1列31番

已んぬる哉

オブラートに包んだ水みたいなキミに

2023年6月7日に契約継続が発表されてから2024年3月17日の最終戦が行われるまでの285日

色んなことがあったね。

大いに泣いて大いに笑った、喜怒哀楽、哀歓も悲喜も、ぜんぶぜんぶ詰まった半年でした。

 

ジャンボス、東レとのプレシーズンマッチから始まってレギュラーラウンド36試合

天皇杯も入れて40試合

すべて見届けられたことが本当に嬉しいし、ひとつだって後悔なんてしていないけれど、振り返ると個人的にはなかなか苦しいシーズンだったかも。

 

22-23シーズン、なかなか出場機会に恵まれてVOM2回も獲った新進気鋭のセッター今橋くんにとっては悔しい苦しいスタートだったんじゃないかな。

 

うまく言葉にできないんだけれどレギュラーラウンド開幕からあんまり調子が振るわない様子なのにいつも以上に陽気に振舞ってるような気がしていたのがずっと気になっていて、シーズン中盤にはすっかり表情が硬くなっていくのをなにもできないまま見ているのが本当にもどかしかったし、苦しかったなあ…

負けず嫌いでやたら勝気で、おちゃらけて見えてて、でも結局のところ根が真面目な性分の人なので、思い悩んでなきゃいいな、なんて勝手に心配してた。

 

初めてベンチアウトだったのを見たときは変な顔してごめんね。わたしと同じくらい変な顔してたけど。

がっかりしたとかじゃなくびっくりしてどんな顔していいかわかんなかっただけなんだ。

 

出場機会になかなか恵まれなくって、2枚替えで入っても欲しいところでパスがこなくって1本もトス上げることなく下げられた日なんてわたしが死にたいくらい悔しかったんだから、彼の心中を推して量るべくもなく。

こんな世界なら終わってしまえばいいのにってひとりになったあと、帰りの飛行機や新幹線、電車の中で窓の外を睨むしかなかった。

 

運命のようなものってきっとあって、いまがどうあっても今日のために生きてきたんだ!って日があるから。

 

年明けくらいからなんか吹っ切れたみたいに明るい顔を見られるようにもなったので、なにか心境の変化でもあったのかも。知らんけど(笑)

 

それでも「もっと活躍します」「来週は頑張ります」と言う言葉の通りに活躍する姿を頼もしく思っていたけど、同じくらいその言葉が彼を追い詰めることがなければいいな、って祈っていました。

 

こちらもこの辺からは別にわたしが心配したってしょうがないし、本人勝手に頑張るんだからいつ大活躍してもいいように通うだけなんだよなって開き直れた気がする。

なにもできないけど、少しでも支えになれてたらいいな、と願いながら。

 

終戦、第5セットのあの場面で出てきて、いつものパフォーマンスを出せたことが誇らしいし、この日のためにここまで来たんだって思えたし、そう思わせてくれたことが嬉しい。

これからも応援したいって思えたし、シーズンの最後にそう思えたことが幸せだし、有難いことだと思った。

 

大丈夫、まだまだやれるよ!

 

ここまでダラダラ書いてきたけど、結局どんな言葉を探しても、どんな言葉を並べても、想いとか感謝とか愛おしさみたいなものが少しも伝わらないような気がして、もどかしさにまた涙が出そうになる。

心とか愛とか、伝えたいのは目には見えないものばかりだし、胸を切り開いて心臓でも差し出せたんなら、少しくらいわかってもらえたんだろうか。

わたしの心の中のキミの存在の大きさを。

この世界がきれいに見えるのはこの世界のどこかにキミがいるから。

 

 

今日まで、ここまで、バレーを続けてきてくれて、わたしの人生に存在してくれて、ありがとう。

たくさんのありがとうと、いっぱいの大好きをキミに

2023年1月14日

この日、小学生ぶりにVリーグを観戦した。

 

墨田区総合体育館の周囲に立つ選手ひとり一人のぼりに「はえ~すっご」と独り言なんかを呟きながらメインアリーナに向かったのを覚えている。

いまとなっては当たり前だし販売してくんないかな?と思ってるあのタペストリーなんかにもいちいち「アイドルなんか?」とか思ってた気がする。

配られるハリセンの選手紹介に笑ったし、運営からイジられすぎやない?と写真を撮って友人に送ったりもした。

 

今年の漢字は?の質問にコロナの『コ』と答える天然炸裂系プレイヤー」って書いてある選手がまあまあ渋めのイケメンだったりで始まる前から軽くパニック起こすなどしていたら「選手入場は会場暗くなるで~」のようなアナウンスが流れて、これにも「???」となった。

よくよく会場見渡したらミラーボールとかあるし。いやここはクラブなんか?

(これも後に有明コロシアムで本気のデカ箱クラブ演出を目の当たりにしてこの日なんてお遊びみたいなものだったんだな、と認識を改めることになる)

 

みたいに最初は未知のものに対する「うわ!おもろ!」みたいな興味と、まあご近所ですし?みたいな気持ちで翌日のチケットを取りながら帰るなどした。

 

この時点では正直さほどの熱量はなかった気がする。

他にもたくさんスポーツはあるし、サッカーやバスケ、フットサル、ハンドボールも好きだし。

なによりバレーボールは好きだけど、わたしにとっては挫折の象徴だし、人生の中で諦めてしまったものの最たるなので苦々しい思い出もまだまだ好きの感情より全然大きかった。

過去の自分を慰める意味でもまたバレーボールを好きになれたらいいな。

 

なんて、思っていたはずなのに気が付いたらシーズン最終戦は大阪にいた。なんで?

なんならA3バカデカボード掲げてどうか、どうか、と、祈りながらコートを見つめていた。

 

きっかけがなんだったかは定かではないけれど、いまわたしは東京グレートベアーズというチームが大好きだし、これからもっと大好きになるという確信もあって、現実を生きていられる。

 

選手のみなさんが「応援のおかげで」「ファンの声援のおかげで」と話すたびになんだか泣きたいような叫び出したいような気持ちになる。

「応援を力に変えて」って人は簡単に言うけれどそんなに単純なものじゃないし、自分があのコートに立っていたときには応援団の声援を疎ましく思ったこともあるし。

 

FC東京からいまのチームになった経緯もリアルタイムでは知らないし、選手やファンの苦しみも悲しみも文字でしか知らないけれど、それでもきっとプロになるっていうのはこういうことなんだろうかと思う。

 

2022-23 クラブにとってのファーストシーズン。

わたしは1/14から始まって15試合しか観られなかったけれど、それでも大いに泣いて大いに笑った2ヶ月半だったし、コロナ禍で制限、抑制されたここ数年の中で一番濃厚な時間だったと思う。

 

彼らはプロなので本当に来シーズンもこのクラブにいるのかわからないし、そもそも現役を続行するかも、なにもわからない。

けれど、だからこそ輝くんだと思う。

一瞬一瞬を胸に刻んでおきたくて、ぜんぶの笑顔を覚えておきたくて。

あのコートを去ることになる最後の瞬間まで大きな声援を浴びていてほしいと願う。

 

だからサヨナラのそのときまで、たくさんのありがとうと、いっぱいの大好きをキミに伝えられますように。

それが、まだまだ遠い未来であることを祈りながら。